特定継続的役務提供契約のクーリングオフ

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特定継続的役務とは?

特定継続的役務とは、「役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもって誘引が行なわれるもの」であり、「役務の性質上、その目的が実現するかどうか確実でないもの」として、「政令で定めるもの」をいいます。具体的に政令で指定されているものは、以下の6業種になります。

  • エステティックサロン
    人の皮膚を清潔にし、体形を整え、又は体重を減ずるための施術を行なうこと。
  • 語学教育
    語学の教授。ただし、入学試験に備えるため又は学校教育の補習のための語学の指導は除く。
  • 家庭教師
    中学校、高校、大学、専修学校、各種学校の入学試験に備えるため又は小・中・高校の補習のための学力の教授。(事業者が用意した場所以外の場所において提供されるものに限る。)
  • 学習塾
    中学校、高校、大学、専修学校、各種学校の入学試験に備えるため又は、児童、生徒を対象とした学校教育の補習のための学力の教授。事業者が用意した場所で提供するものに限る。
  • パソコン教室
    電子計算機またはワードプロセッサーの操作に関する知識または技術の教授。
  • 結婚紹介サービス
    結婚を希望する者への異性の紹介。

特定継続的役務提供契約とは?

特定継続的役務提供契約とは、

  • 上記の「特定継続的役務」を、
  • 「政令で定める期間を超える期間にわたり提供することを約し」、
  • かつ、「政令で定める金額を超える金額の支払を約する」契約を言います。

これは、特定継続的役務に期間と金額について条件を設定していることになります。政令が指定する期間と金額は以下のとおりです。結果として下記の条件を満たすものが特定継続的役務提供契約となります。

  • エステティックサロン 期間:1ヶ月超 金額:5万円超
  • 語学教育 期間:2ヶ月超 金額:5万円超
  • 家庭教師 期間:2ヶ月超 金額:5万円超
  • 学習塾 期間:2ヶ月超 金額:5万円超
  • パソコン教室 期間:2ヶ月超 金額:5万円超
  • 結婚紹介サービス 期間:2ヶ月超 金額:5万円超

指定期間

「2ヶ月超」とは、2ヶ月ちょうどを含みません。役務提供の開始日と終了日が定めてあればその期間となりますが、チケット制やポイント制の場合は、その有効期限が役務提供期間となります。

指定金額

「5万円超」とは、5万円ちょうどを含みません。この金額は、入会金・ガイダンス料・施設利用料・関連商品購入代金などを含む契約総額とされています。

クーリングオフの効果

特定継続的役務提供契約のクーリングオフをした場合は、以下の7つの法的効果(作用)が発生するとされています。

  • クーリングオフがなされると特定継続的役務提供契約についての契約は効力を失う
  • 役務提供事業者には、既に受領した代金や受講料などを返還する義務が生じる。
  • 役務提供事業者はクーリングオフに伴う損害賠償または違約金の支払を請求することはできない
  • 特定権利販売契約によって移転した権利又は関連商品販売契約により引き渡された商品がある場合には、消費者は受領した商品を返還する義務が生じるが、その商品の引き取り費用は役務提供事業者が負担する。
  • 既に役務の提供がなされていたとしても、役務提供業者はその対価やその他金銭を請求することはできない。
  • クーリングオフに関する規定のうち、特定商取引法に反する特約で消費者に不利なものは無効となる。
  • クーリングオフの効果はクーリングオフにかかる書面を発した時にその効力が生じる。

クーリングオフの方法

特定継続的役務提供契約(エステ・語学教育・家庭教師・学習塾・パソコン教室・結婚紹介所)のクーリングオフはどのような場合に可能なのでしょうか?まず、特定継続的役務提供契約のクーリングオフを行う場合、以下に掲げる3つの要件(条件)を全て満たす必要があります。これらの要件が1つでも欠けているとクーリングオフができませんのでご注意ください。

クーリングオフ要件

  • 特定継続的役務提供契約または特定権利販売契約であること
  • 契約書面を受領した日から8日以内であること
  • 書面により契約解除の意思表示をすること

関連商品のクーリングオフ

特定継続的役務提供契約では、役務の提供によって様々な商品がセットになって販売されることがあります。この場合、その商品についてクーリングオフが認めれらないとすると、その効果は半減してしまうでしょう。そこで特定継続的役務提供契約については、関連商品のクーリングオフも認めれれています。

関連商品

クーリングオフの対象となる関連商品は、政令で以下のように指定されています。

  • エステティックサロン
    健康食品、化粧品・石けん(医薬品を除く)・浴用剤、下着類、美顔器・脱毛器
  • 語学教室、家庭教師、学習塾
    書籍(教材を含む)、カセット・テープ・CD・CD-ROM・DVDなど、ファクシミリ機器・テレビ電話
  • パソコン教室
    パソコン・ワードプロ・これらの部品および付属品、書籍、カセット・テープ・CD・CD-ROM・DVDなど
  • 結婚相手紹介サービス
    真珠・貴石・半貴石、指輪その他の装身具

関連商品販売契約のクーリングオフ要件

  • 政令で指定されている関連商品の販売契約であること
  • 役務提供事業者が関連商品の販売又は代理若しくは媒介を行なっていること
  • 特定継続的役務提供契約のクーリングオフがされたこと
  • 契約書面を受領してから8日以内であること
  • 書面による解除の意思表示をすること
  • 政令で定める消耗品を使用又は消費していないこと
    政令で定める消耗品とは、関連商品中の健康食品、化粧品・石けん(医薬品を除く)・浴用剤をいう。

契約書面

特定商取引法は、特定継続的役務提供契約において締結された契約の内容を明確にし、後日の紛争を防止するために契約締結後の契約書面の交付を義務付けています(契約書面の交付義務)。クーリングオフの要件として契約書面の受領が要求されていますが、この契約書面には以下の項目を全て虚偽なく記載しなければなりません。以下の項目を1つでも欠いたり、虚偽の記載があった場合は法定の契約書面とは認められません。ですから、クーリングオフの権利行使の起算日が開始していないものと解され、消費者は適法な書面が交付されるまで、いつまでもクーリングオフが可能となります。

  • 役務の種類・役務提供の形態又は方法・購入する必要のある商品名
  • 役務の対価その他支払わなければならない金銭の額
  • 金銭の支払の時期・方法
  • 役務の提供時間
  • クーリングオフに関する事項
  • 中途解約に関する事項
  • 役務提供事業者の氏名・名称、住所・電話番号、法人の場合は代表者の氏名
  • 契約締結を担当した者の氏名
  • 契約締結の年月日
  • 割賦販売法に基づく抗弁権の接続が認められること
  • 前払取引を行なうときは、前受金についての保全措置に関する事項
  • 役務の提供に際し、役務の提供を受ける者が購入する必要のある商品がある場合には、当該商品を販売する者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人の場合は代表者の氏名
  • 特約があるときはその内容

クーリングオフの期間

クーリングオフは「契約書面を受領した日から8日以内であること」が要件とされていますが、この8日以内とは、契約書面交付の日を1日目として算入します。例えば、9月3日に契約書面を受領した場合には、その日を1日目と計算し、8日目は9月10日となり、クーリングオフができる最終日となります。また、特定継続的役務提供契約のクーリングオフは発信主義を採用していますから、申込者等がクーリングオフの通知書を出したときに効力が生じるので、事業者への通知の到達が11日目以降でも有効です。

特定継続的役務提供契約のクーリングオフ通知書例

エステの契約と同時に関連商品(消耗品)を購入する契約を締結し、消耗品の一部を使ってしまった場合のクーリングオフ通知書面の記載例をご紹介します。

  • 内容証明郵便の詳しい書き方についてはこちらから。
  • 代金を支払っている場合、業者に対して支払った代金の返還請求することが可能です。
  • クレジット契約を締結している場合、クレジット会社にも通知しなければなりません。
  • この通知書例を使用したことにより発生した損害について、当HPは一切の責任を負いません。

特定継続的役務提供契約の中途解約

特定継続的役務提供契約はクーリングオフ期間が経過した場合であっても、一定の損害を賠償して契約を中途解約できる制度が設けられている。

【中途解約について】

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