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業務提供誘引販売取引とは?
業務提供誘引販売取引と、業務提供誘引販売取引を行う業務提供誘引販売業について、特定商取引法第51条1項で以下のように定義されています。
『「業務提供誘引販売業」とは、物品の販売(そのあつせんを含む。)又は有償で行う役務の提供(そのあつせんを含む。)の事業であつて、その販売の目的物たる物品(以下この章において「商品」という。)又はその提供される役務を利用する業務(その商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんを行う者が自ら提供を行い、又はあつせんを行うものに限る。)に従事することにより得られる利益(以下この章において「業務提供利益」という。)を収受し得ることをもつて相手方を誘引し、その者と特定負担(その商品の購入若しくはその役務の対価の支払又は取引料の提供をいう。以下この章において同じ。)を伴うその商品の販売若しくはそのあつせん又はその役務の提供若しくはそのあつせんに係る取引(その取引条件の変更を含む。以下「業務提供誘引販売取引」という。)をするものをいう。』
上記の文章は、業務提供誘引販売取引と業務提供誘引販売業の定義が同時に規定されているため、非常にわかり辛い文章となっています。ポイントをまとめると、
業務提供誘引販売取引とは
①「業務提供利益」を享受し得ることをもって顧客を誘引し
②「特定負担」を伴う
③商品の販売・あっせんまたは役務の提供・あっせんにかかる取引
業務提供誘引販売業とは
①「物品の販売・あっせんまたは役務提供・あっせんの事業」であって、
②「業務提供利益」を収受し得ることをもって顧客を誘引し、
③「特定負担」を伴う
④電商品販売・あっせんまたは役務の提供・あっせんにかかる取引をするもの
業務提供利益とは
商品又はサービスを利用する仕事に従事することで得られる利益であり、かつ業者が提供またはあっせんするものです。
特定負担とは
「物品の購入、役務の対価の支払い、取引料の提供を行うこと」をいいます。
クーリングオフの効果
業務提供誘引販売取引のクーリングオフした場合は、以下の6つの法的効果(作用)が発生するとされています。
- クーリングオフがなされると業務提供誘引販売取引についての契約は効力を失う。
- 業務提供誘引販売業者に既に受領した代金や受講料などを返還する義務が生じる。
- 既に引き渡された商品がある場合には、消費者は受領した商品を返還する義務が生じるが、その商品の引き取り費用は業務提供誘引販売事業者が負担する。
- 業務提供誘引販売業者はクーリングオフに伴う損害賠償または違約金の支払を請求することはできない。
- クーリングオフに関する規定のうち、特定商取引法に反する特約で消費者に不利なものは無効となる。
- クーリングオフの効果はクーリングオフにかかる書面を発した時にその効力が生じる
クーリングオフの方法
業務提供誘引販売取引(内職商法・モニター商法等)のクーリングオフはどのような場合に可能なのでしょうか?まず、業務提供誘引販売取引のクーリングオフを行う場合、以下に掲げる5つの要件(条件)を全て満たす必要があります。これらの要件が1つでも欠けているとクーリングオフができませんのでご注意ください。
クーリングオフ要件
- 業務提供誘引販売取引によること
- 消費者が提供・あっせんされる業務を事業所等によらないで行う個人であること
- 契約の締結を行ったこと
- 契約書面を受領した日から20日以内であること
- 書面により契約解除の意思表示をすること
契約書面
特定商取引法は、業務提供誘引販売取引において締結された契約の内容を明確にし、後日の紛争を防止するために契約締結後の契約書面の交付を義務付けています(契約書面の交付義務)。クーリングオフの要件として契約書面の受領が要求されていますが、この契約書面には以下の項目を全て虚偽なく記載しなければなりません。以下の項目を1つでも欠いたり、虚偽の記載があった場合は法定の契約書面とは認められません。ですから、クーリングオフの権利行使の起算日が開始していないものと解され、消費者は適法な書面が交付されるまで、いつまでもクーリングオフが可能となります。
- 商品の種類・性能・品質に関する事項、権利の種類・内容に関する事項、役務の種類・内容に関する事項
- 商品・提供役務を利用する業務の提供またはあっせんについての条件
- 特定負担に関する事項
- 契約の解除に関する事項
- 業務提供誘引販売業者の氏名・名称、住所、電話番号、法人代表者名
- 契約の締結を担当した者の氏名
- 契約年月日
- 商品名及び商品の商標または製造者名
- 特定負担以外の義務についての定めがある場合にはその定め
- 割賦販売法上のローン提携販売・割賦購入あっせんの方法により商品の販売・役務の提供を行う場合は、同法30条の4に規定する抗弁の対抗ができること
クーリングオフの期間
クーリングオフは「契約書面を受領した日から20日以内であること」が要件とされていますが、この20日以内とは、契約書面交付の日を1日目として算入します。例えば、9月3日に契約書面を受領した場合には、その日を1日目と計算し、20日目は9月22日となり、クーリングオフができる最終日となります。また、業務提供誘引販売のクーリングオフは発信主義を採用していますから、申込者等がクーリングオフの通知書を出したときに効力が生じるので、事業者への通知の到達が21日目以降でも有効です。
業務提供誘引販売取引のクーリングオフ通知書例
電話で内職商法の契約を締結し、代金も支払ってしまった場合のクーリングオフ通知書面の例をご紹介します。
- 内容証明郵便の詳しい書き方についてはこちらから。
- 代金を支払っている場合、業者に対して支払った代金の返還請求することが可能です。
- クレジット契約を締結している場合、クレジット会社にも通知しなければなりません。
- この通知書例を使用したことにより発生した損害について、当HPは一切の責任を負いません。