改正特定商取引法の概要

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改正の特徴

2008年6月に公布された改正特定商取引法及び改正割賦販売法が2009年12月1日から施行されました。今回の改正によって、クーリングオフや返品が広く認められることになり、より消費者保護が図られる一方、インターネット取引規制の強化も図られているため、特にネット通販業者を中心に大きな影響が出ることが予想されます。改正の主な特徴として以下の4点が挙げられます。

  • 規制の抜け穴の解消
  • 訪問販売規制の強化
  • インターネット取引等の規制強化
  • 罰則・自主規制の強化

規制の抜け穴の解消

これまで特定商取引法は、訪問販売、電話勧誘販売、通信販売に関しては、指定商品・役務・権利のみを規制対象としており、新たな消費者トラブルが発生するとその都度、指定商品等に追加をし消費者保護を図ってきましたが、性質上、新たな消費者トラブルに弱いという弱点がありました。そこで、このような規制の後追いから脱却するため、現行の指定商品・指定役務(サービス)制を廃止し、原則すべての商品・役務が特定商取引法の規制対象とされました。その上で、クーリングオフになじまない商品・役務は、該当する規制の対象から除外されることとなりました。

全面的適用除外

他の法律の規定によって消費者の利益を保護することができると認められるものは、特定所取引法の適用除外とされました。

  • 金融取引に関するもの(19法律)
    金融商品取引業、銀行業、保険業など、金融機関が行う取引について規定する。Ex.有価証券の売買、預貯金業務、保険の引受など
  • 通信・放送に関するもの(4法律)
    電気通信事業、放送事業など、通信・放送に関する役務について規定する。
    Ex.電話、インターネット接続サービス、ケーブルテレビ、衛星放送など
  • 運輸に関するもの(9法律)
    航空運送、陸運、海運など、輸送機関によって乗客や貨物を輸送する役務について規定する。Ex.航空運送事業、鉄道事業、バス・タクシー等の運送、フェリーの運送など
  • 法律に基づく国家資格を得て行なう業務に関するもの(7法律)
    Ex.公認会計士、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、税理士、社会保険労務士、弁理士
  • その他の類型(10法律)
    Ex.商品取引、自動車整備業、倉庫業、国民年金、信用購入斡旋、積立式宅地建物販売、海外商品取引、商品投資顧問業、不動産特定共同事業、裁判外紛争解決手続のような上記以外の類型。

書面交付義務及びクーリングオフ規定の適用除外

当該役務の全部の履行が契約の締結後直ちに行われることが通例である役務(実際にその全部又は一部が契約の締結後直ちに履行された場合)

  • 海上タクシー等による運送サービス
  • レストランや居酒屋等の飲食店
  • あん摩、マッサージ、指圧
  • カラオケボックス

クーリングオフ規定のみの適用除外

購入に際して販売条件についての交渉が時間をかけて数次にわたって行われ、購入者の購入意思が安定的であるのが通常で、クーリング・オフ規定を適用した場合にはむしろ契約関係を不安定にするなどの弊害が大きいと考えられる商品又は役務。

  • 乗用自動車(二輪のものを除く。)
  • 乗用自動車の貸与(いわゆる自動車リース)

日常生活において必要不可欠と考えられる役務の提供である場合や、突発的に発生した事項に対応するために必要となる役務の提供である場合で、契約の締結後、速やかに履行を受けられないと、消費者に相当の不利益が発生する商品又は役務。

  • 電気・ガス・熱の供給
  • 葬式のための祭壇の貸与その他の便益の提供

使用もしくは一部の消費によって価値が著しく減少するおそれがある商品を使用しまたはその全部若しくは一部を消費したとき(消費させた場合を除く)。

  • 動物及び植物の加工品でいわゆる「健康食品」等と呼ばれているもの(医薬品を除く)
  • 不織布、幅13cm以上の織物
  • コンドーム、生理用品
  • 防虫剤、殺虫剤、防臭剤・脱臭剤
  • 化粧品、毛髪用剤・石けん(医薬品を除く)、浴用剤、合成洗剤、洗浄剤、つ
  • 出し剤、ワックス、靴クリーム、歯ブラシ履物
  • 壁紙
  • 配置薬

少額の現金取引

  • 3,000円未満の現金取引

訪問販売規制の強化

再勧誘の禁止

訪問販売では、消費者が購入の意思がないことを伝えた場合であっても、しつこい勧誘によって契約を締結してしまったという被害が多そこで、訪問販売業者に、契約を締結しない旨の意思を示した消費者に対しては、当該契約の勧誘をすることを禁止する規定が設けられました。

過料販売に対する解除制度の導入

高齢者を狙い、大量の商品を売り付ける、いわゆる次々商法も多発したため、訪問販売によって通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入する契約を結んだ場合(過量販売)、契約後1年間は契約の解除等を可能となりました(消費者にその契約を結ぶ特別の事情があったときは例外)。

インターネット取引等の規制強化

返品制度の創設

ネット通販をはじめとする通信販売は特定商取引法の規制対象ですが、これまでクーリングオフに関する規定が設けられていなかったため、クーリングオフの対象外でした。しかし、ネット通販の普及とともに返品をめぐるトラブルが増加する現状を鑑み、通信販売の広告などに「返品の可否」や「返品の条件」など返品に関する特約(返品特約)を表示していない場合、消費者は「商品」または「指定権利」を受け取った日から8日間、送料消費者負担で返品(契約の解除)ができるようになりました。

指定権利

  • 保養のための施設又はスポーツ施設を利用する権利
    Ex.リゾート会員権、ゴルフ会員権、スポーツ会員権
  • 映画、演劇、音楽、スポーツ、写真又は絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞し、又は観覧する権利
    Ex.映画チケット、演劇チケット、音楽会チケット、スポーツ観覧チケット、写真展チケット、美術展チケット
  • 語学の教授を受ける権利
    Ex.英会話サロン利用権

電子メール送信規制の強化

電子メールによる広告も増加の一途を辿っていますが、消費者があらかじめ承諾・請求しない限り、電子メール広告の送信が禁止され、これに違反した場合、行政処分や罰則の対象となります。

その他

  • 違反事業者に対する罰則を強化
  • 訪問販売協会による自主規制の強化

■特定商取引法及び割賦販売法が改正されました。

20086月に公布された改正特定商取引法及び改正割賦販売法が2009121日から施行されました。今回の改正によって、クーリングオフや返品が広く認められることになり、より消費者保護が図られる一方、インターネット取引規制の強化も図られているため、特にネット通販業者を中心に大きな影響が出ることが予想されます。

■特定商取引法及び割賦販売法改正の概要

規制の抜け穴の解消

訪問販売・電話勧誘販売・通信販売において、規制の後追いから脱却するため、現行の指定商品・指定役務(サービス)制を廃止し、原則すべての商品・役務が特定商取引法の規制対象とされました。その上でクーリングオフになじまない商品・役務は、該当する規制の対象から除外されることとなりました。また、割賦の定義を見直し、現行の2ヶ月以上かつ3回以上の分割払いのクレジット契約に加えて、2ヶ月を超える1回払い、2回払いも追加され、「2ヶ月を超える支払すべて」が規制対象となりました。

訪問販売規制の強化

訪問販売業者に、契約を締結しない旨の意思を示した消費者に対しては、当該契約の勧誘をすることを禁止する。訪問販売によって通常必要とされる量を著しく超える商品等を購入する契約を結んだ場合、契約後1年間は契約の解除等を可能にします(消費者にその契約を結ぶ特別の事情があったときは例外)。

通信販売の規制の強化

返品の特約を広告に表示していない場合は、8日間、送料消費者負担での返品(契約の解除)を可能にします。消費者があらかじめ承諾・請求しない限り、電子メール広告の送信を禁止します。(注2)

クレジット事業者に対して、個人情報保護法ではカバーされていないクレジットカード情報の保護のために必要な措置を講じることを義務づけるとともに、カード番号不正提供・不正取得をした者等を刑事罰の対象とします。

その他

・違反事業者に対する罰則を強化。

・クレジット取引の自主規制等を行う団体を認定する制度の導入。

・訪問販売協会による自主規制の強化。

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