近年の悪徳商法の急増や、産地偽装の問題をきっかけに、更なる消費者保護の必要性が語られています。もちろん消費者保護も重要なのですが、日ごろ消費者問題に携わる者の意見として、消費者教育の方が重要ではないかと常々考えています。
消費者教育といっても小難しいものではなく、ごくごく簡単な3つのことを知っているだけも、多くの場合問題を回避または解決することができるはずです。
- 対処法を知ること
- 相談する勇気をもつこと
- 保護制度を知ること
まず、第1の「対処法をしること」は事前の対策になります。第2・第3の「相談する勇気を持つこと」「保護制度を知ること」は事後の対応、つまりコトが起こってしまってからの対策です。インフルエンザの場合と同様に、寝込んで抗生物質を飲み続ける対処療法と注射一本で済む事前対策とでは、事前対策が簡単なのは言うまでもありません。
まず、第1の対処法とは、一言で言ってしまうと「相手にしない」。これが最も簡単で効果的な方法です。例えば、街中で通りかかる人に手当たり次第声を掛けている人がいるとします。無視をして通り過ぎてしまえば、ほとんどの場合勧誘者は諦めて次の人に声を掛けるでしょう。この時点で問題は回避されました。勧誘者に早い段階で諦めてもらうことが大切です。こちら側が一瞬でも歩くスピードを落としたり、立ち止まったりした場合、相手も「脈有り」と判断し、攻勢を掛けてくる可能性が高くなります。相手はプロです。毎日同じように声を掛け同じような問答をしているので、素人が付け焼刃で対抗してもかなわないでしょう。 「華麗にスルー」これが理想的な対処法です。
では、「華麗にスルー」ができなかった場合はどうでしょう。例えば、友人にファミレスに呼び出されてマルチ商法の勧誘を受けてしまった場合などです。その場合、第2の「相談する勇気を持つこと」が大切になります。ファミレスや連れて行かれた店舗と思しき場所で5時間も6時間も延々と説得されれば、通常の神経をしている人間ならば契約をしてしまいます。契約してしまったことを「負けた」と恥じる方がいますが、相手はプロですそもそも敵うはずがありません。恥ずかしいと思う気持ちもわかりますが、何十万も必要のない商品に費やすことを考えてください。「バカバカしい」そう思ったら家族や友人、専門家、消費者センターなどどこでも構わないので相談をしてください。たった一言でも解決策が見つかる可能性は格段に上がります。
最後に「保護制度の存在を知ること」です。保護制度の代表格がクーリングオフになります。クーリングオフは契約を一方的に「やっぱりなかったことにします。」という非常な強力な制度ですから、できる場合も法律で細かく限定されています。代表的なものを挙げると、訪問販売・キャッチセールス・電話勧誘・エステ・マルチ商法などがありますが、場合によっては認められなかったりしますので注意が必要です。したがって、個々の契約がクーリングオフできるかどうか知っていればそれに越したことはないのですが、制度の存在さえ知ってさえすれば、専門家や消費者センターに相談をして個々の契約について判断できるので、「クーリングオフという制度がある」というように制度自体の存在を知ることが大切です。
以上のように、私の考える消費者教育はごくシンプルなものですが、こういった共有すべき方法論は、誰もが活用できるようにシンプルであるべきと考えています。